世界には、たくさんの天然記念物が存在している。
天然記念物と聞くと皆さんは何を思い浮かべると思うだろうか、イヌワシやウナギ、ウグイなんて思い浮かべる方がいると思うが、そもそも天然記念物とはなんだろうか。
天然記念物とは、動物、植物、地質・鉱物などの自然の物に関する記念物であり、学術的な価値が高い動物・植物・地質・鉱物とそれらが存在する地域で、その保護・保存を指定されているものである。
それは、文化財保護法や地方公共団体の条例により定められる。
天然記念物に対して特別天然記念物というものもあるが、これは天然記念物のうち世界的または国家的に価値が特に高いとして文化財保護法に指定されたものである。
こちらはタンチョウやニホンカモシカなどイメージが湧きやすいのではないだろうか。
今回は天然記念物に指定されている「アユカケ」について紹介したいと思う。
アユカケはなぜ天然記念物に指定されたのか?
まずアユカケと聞いて、すぐに魚であることを知っていて、さらに姿まで想像できるのは相当魚に詳しい方ではないだろうか。
アユカケというのはカサゴ目カジカ科に属する日本固有種の魚であり大きさは5㎝~30㎝で降河回遊型の中型のカジカ類の一種である。
分布は本州~九州まで広く分布しているが、生息条件が悪化しており、これらの生息地においても個体数は少ない。
生息状況の悪化はアユカケの生態とも関係していて、アユカケは産卵のために河川の中流から海まで下り、また中流に戻ってくるのだが遡上能力が低いために小さな段差でも上流に戻ることが出来なくなってしまう。
さらにサクラマスなどの他の魚類の為に設計された魚道でも遡上が阻害されてしまうため、人の手によって開発が進められた地域では下流に取り残され生息数が減っていると考えられる。
まとめ
アユカケは開発などで生息条件の悪化が著しく、現在の生息場所の個体も少なくなってきているため、本種の生息地である福井県九頭竜川は天然記念物に指定されている。
私は天然記念物とは、自然環境によるものがほとんどであり保護がされる良いものだと考えていたが、日本の身近に生活している魚でさえも人間の開発によって数が減少して天然記念物に指定されるという事に驚きと残念な気持ちになってしまった。