スジエビは他の甲殻類と同じで卵から孵化した幼生を『ゾエア』と呼びます。

その後脱皮を繰り返しながら『メガロパ』となり稚エビへと成長します。

所謂プランクトンと呼ばれるのは卵から孵化した状態のゾエアからメガロパの時期というわけです。

スジエビに限らず多くの甲殻類は卵を腹部に抱えるように保護し、時期が来ると水中に幼生を放出します。

これをゾエア放出と呼びます。

ゾエア・メガロパ時は体がほぼ透明で、イメージ的にはミジンコのような生物に見えます。

ゾエア期は頭胸部と腹部からなり、胸部の3対の付属肢を使って泳ぐことが出来ます。

スジエビ ゾエア 餌

スジエビのゾエア期に餌は必要?

スジエビのゾエア期育成にはまだ確立された飼育方法がありませんが、繁殖成功の報告も多く、手順さえ間違わなければ何とか成長させることが分かってきています。

ただ、スジエビに関しては自然界でもショップでも安易に手に入れることが出来るため、わざわざ手間暇かけてスジエビの繁殖に力を入れるアクアリストは少ないのも現状です。

しかしスジエビが抱卵して、いざゾエア放出となると飼育者として折角誕生した命を無駄にしたくはありませんよね。

必要な餌と環境を整えて大人スジエビまで育てたいものです。

スジエビの餌『ワムシ』とは?

スジエビのゾエア期に与える餌としては『シオミズツボワムシ』という輪形動物というグループに属す動物プランクトンが候補に挙がります。

このワムシは自然界では塩分が含まれる汽水湖や塩水湖に生息しています。

生物飼料としては海水魚養殖場で最も使用されるのがこのワムシで養殖業界では基本です。

ワムシのサイズはL型・S型・SS型の3種類があり、大きさはL型で250μmくらい、S型で150μmととても小さなものになります。

生物飼料培養する場合は自然界の生息環境に合わせて2/3に希釈した海水にて、水温が27℃~28℃程度が望ましいとされています。

ワムシは植物プランクトンが主食なので、培養する際はクロレラなどの植物プランクトンを与えます。

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スジエビの餌『ブラインシュリンプ』とは?

ブラインシュリンプとは節足動物、甲殻亜門、鰓脚綱(さいきゃくこう)サルソストラカ亜綱 無甲目 ホウネンエビモドキ科 の属名『アルテミア』の事を指し、小型の甲殻類の1種です。

このアルテミア=ブラインシュリンプは1億年前から変化していない「生きている化石」とよばれ、特色の一つである「長期乾燥に耐える休眠卵」の採取を目的に養殖・市販されています。

日本では『シーモンキー』という名で昭和40年代に通信販売商品として一時ブームとなったこともあります。

理由は説明書の文言通りだと1時間で生まれる奇妙な生き物「インスタント・ライフ」とあり、A粉末とB粉末が用意されており、A粉末を入れて24時間してB粉末を入れると1時間ほどで卵が孵化すると解説されています。

実際はA粉末が実はシュリンプの乾燥卵で単に24時間で孵化しただけのトリック商品である(B粉末は単なる塗料で幼生を見えやすくするもの)前述のワムシに比べると孵化時で500μm、生体で9mm後半になることからゾエアのスジエビに関してはブラインシュリンプの成体を食べるのは少し難しい感じがしますね。

まとめ

スジエビのゾエア期ににはまだ確立された飼育法が存在しませんが、アクアリストの間では繁殖成功の報告が寄せられています。

エサは大きく分けて『ワムシ』と『ブラインシュリンプ』が容易に手に入りやすく、給餌時の食いつきも良いようです。

餌の繁殖は難易度が高いですが、環境管理を疎かにしなければ決して難しくないようです。

アクアリストの中ではスジエビ自体自然界に多く生息しており、ショップでも安価で購入できることからスジエビ繁殖に力を入れる方は少ないようです。

しかし、卵を腹に抱え懸命に頑張っているスジエビをみると応援してあげたくなってしまいますよね。

皆さんもスジエビ繁殖に挑戦してみてはいかがでしょうか?

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