地味な色のウミウシを触ったときに紫の液体がでてくることがあります。
この場合、実際にはウミウシではなくてアメフラシを触っているのです。
大きさの違いはありますが、ウミウシとアメフラシってよく似ていますね。
それもそのはずで、どちらも貝の仲間で貝殻が退化した存在なのです。
アメフラシに触れたとき防御反応としてでてくる紫色の液体、ウミウシには毒を持つ種類もいますが、この液体にも毒が含まれているのでしょうか。
ウミウシの仲間・アメフラシの紫色の液体は毒?
ウミウシの仲間のアメフラシ、日本に分布している種類では15センチメートル前後の大きさが一般的ですが、なかには30センチメートルほどに成長する個体もいます。
ウミウシと同じように頭部にある2本のツノ状の突起が特徴的です。
アメフラシが危機を感じたときに海水中にだす紫色の液体、これがまるで雨雲のように立ち込めることからアメフラシと呼ばれていますが、この液体には毒と同じような働きを持ちます。
ウミウシのなかには肉食性の種類もいますが、アメフラシは主に海藻類を餌として食べる食性です。
海藻から色素を分解し酵素から防御物質を抽出することで紫色の液体を生成、海水中では紫色の液体とみえますが、実際には紫色の液体と白色の液体を同時にだしています。
白色にはアプリシアパリチンなど複数の化合物、紫色にはフィコエリスロビリンとアプリシオビオリンという2成分です。
これらの液体は、天敵である甲殻類に対して摂食阻害活性を引き起こし、液体を噴出されたカニなどは後退、食べるのを避けるようになります。
つまり、紫色の液体は、目くらましなどの煙幕効果を期待するのではなく、敵の食欲を無くす防御の役割を担います。
外敵に対しては毒として働く紫色の液体ですが、抗菌や抗ガン作用を持つタンパク質も確認されており、研究が進んでいます。
まとめ
地方によってはウミウシと呼ばれるアメフラシの紫色の液体は、餌として食べる海藻類を材料に作られています。
紫色の液体には敵の食欲を抑える摂食阻害活性があり、襲おうとした敵は後退をはじめ、攻撃をおこなうことはありません。
毒として働く紫色の液体、餌を原料に作るわけですから材料の心配もないですね。