スジエビはその獰猛性から他の個体とは混泳が向かず、単体で飼うことが望ましいとされています。
そんなスジエビにも独特の性質と滑稽な仕草があり、飼育者を見ていて飽きさせない不思議な魅力があると言えます。
スジエビは生息地域によってA型、B型とに分けられ、A、B型はそれぞれ別の種類とされています。
A型は川の上流に居たり、湖沼に居る小型の個体群、対してB型は河川下流、または河口域に生息し、模様であるスジが濃く太いのが特徴です。
また、B型は汽水(淡水と海水が混在した)が必要です。
スジエビほど生息域によって体長や模様が異なり、性格さえも違う多様性には驚くものがあります。
厳しい自然を生き抜くために順応した結果なのでしょうか?
ますます興味がわいてきますね。
スジエビ飼育の基本
スジエビは日本原産の淡水、若しくは汽水に棲むテナガエビの仲間です。
飼育は比較的容易ですが、他の個体との混泳には向いていません。
低めの水温を好み、だいたい22℃~24℃までがエビにとって快適な環境のようです。
酸欠に弱いのでエアレーションは必要で水草も適宜入れると良いでしょう。
基本的に雑食ですがどちらかというと肉食寄りで食欲旺盛で、他の魚が残した食べかすや、弱って動けなくなった個体を躊躇なく捕食します。
捕獲された地域や環境によってばらつきはありますが、テナガエビ科らしく獰猛で縄張り意識の高い個体が多いとされています。
コケ取りには「エビ」という定説がありますが、これらは「ヤマトヌマエビ」「ミナミヌマエビ」の得意分野であり、スジエビに関しては期待しない方が良いでしょう。
彼らはよほど空腹にならない限りはコケを食べないそうです。
スジエビ飼育に向いている水質は?
自然に生息するスジエビの環境は、実は生息域によって様々で一概に「この水質が良い」とは言い切れません。
捕獲したエビならばその河川・湖沼に合わせる事が必要ですが、ショップで売られているスジエビは産地表示は殆どなく、素性が分かりません。
餌用として出回るスジエビは、年間20億匹と漁獲量では琵琶湖産がダントツですが、観賞用としてのスジエビ需要に目を付けた業者が、海外由来の別品種を「スジエビ」として販売することが増えてきているようです。
実質的な数値は?
スジエビに限らずエビ類はph値が4.8~7.8の間が良いとされますが、エビにとってもよくないアンモニアを無毒なイオン化に近づけるためにはph6.0~6.9あたりが理想的とされます。
GH(硬度)は水中内のミネラル分の値を指し、エビの甲殻形成にも影響があります。
数値はGH3以上18以下内であれば問題ないとされていますが、この数値に関しては色々な意見があり一概に理想値がこれだ、と特定には至っていません。
まとめ
スジエビは急激な水温変化や酸欠状態の水槽に弱く、体調を崩してしまうでしょう。
スジエビに限らずエビ類は丈夫な部類に入りますが、農薬の抜けきらない水草の投入や、水換え時の慣らしが不十分だと簡単に重篤な状態になってしまうこともあります。
飼育者は普段からエビたちを観察して、愛情を持って育てましょう。
そうすればちょっとした変化にも気づくことが出来るでしょう。
日々変化を見逃さない観察者の目を養いましょう!