スジエビは観賞用として楽しむためには少々注意が必要な品種です。
おなじエビの仲間であるヤマトヌマエビやミナミヌマエビはタンクメイト(水槽内の掃除屋)として苔(コケ)類や、魚が食べ残した残渣などを食べてくれる心強い掃除屋さんです。
性格も大人しく他の個体とも相性が良いのが有名ですが、なぜスジエビはダメなのでしょうか?
理由は第1にスジエビの性格が挙げられます。
スジエビはテナガエビ科に属し、テナガエビ科は総じて獰猛で攻撃的であると言われています。
食欲旺盛で嗅覚が優れており、他の個体の血の臭いを嗅ぎつけては俊敏に狩猟活動を行います。
他のヌマエビ類が掃除屋としたら、スジエビは間違いなくハンターと言えるでしょう。
そんなハンターも自分より大きな個体には成す術もなく、簡単に捕食されてしまうでしょう。
もとよりスジエビ自体が釣り餌として古くから使われていたので、水槽内で他の魚を襲うならず者キャラとしての反面、大量に餌として捕獲されている現状を見れば、悲しい宿命を背負っていると言えますね。
スジエビの飼育で適正な水温とは?
スジエビは北はサハリン、国後・択捉島・北海道、南は九州、種子島、屋久島、朝鮮半島までと生息域は広いですが基本的に涼しい気候を好みます。
スジエビに限らずエビ類にとっての適正水温は22℃~24度と言われており、この温度帯では病気のリスクも減り、繁殖に問題ないと言われています。
この環境は水草もよく育ち、濾過にも良いそうです。
スジエビは寒冷地にも生息していますので水温が9℃くらいまでは飼育が可能と言われています。
スジエビの飼育!意外に楽しい生態観賞!
スジエビと聞くと他の個体とは混泳が難しく、その気性の荒さ故に飼育を断念する方も多いと思いますが、実はコミカルな動きと独特の生態が楽しめる魅力があります。
いっそのこと割り切ってスジエビのみで飼育するのも一考かと思います。
スジエビの鬼ごっこ
スジエビを数匹入れた水槽でエサを与えると、スジエビ同士のエサ争奪戦が始まります。
貪欲な性格のせいか、見るからに食べきれない量を器用に脚で抱き込み、他のエビから逃げ回ります。
他のエビもそうはさせまいと渾身のタックルを仕掛けます。
タックルされてエサが落ちたら別のエビが素早くそれを拾い逃げます。
まさにラグビー大会のような様を飼育者に見せてくれます。
滑稽な顔立ちと生き物の神秘
スジエビは身体が透明で内臓も透けて見えるので、摂取した食べ物が胃まで運ばれ消化されていく過程まで綺麗に見ることが出来ます。
小さなお子さんがいる家庭では生物の神秘と、食物がどのように消化されるかリアルタイムで観察することができ、教育にも向いていますね。
また目玉が飛び出していて愛嬌があり、小さな手ばさみを器用に口に運ぶ様子は見ていて飽きが来ないです。
まとめ
スジエビは混泳には向いていませんが、単体で飼うことで飼育者に別の魅力を提供してくれます。
餌を奪い合う滑稽な仕草や、愛嬌のある風貌、器用に手ばさみを使う姿は見ていて飽きないですね。
水温は22℃~24℃に調整するのがベストで、これは水草や濾過にも良いようです。
寒さに強く9℃くらいまでなら飼育が可能です。